「厭離穢土」は「飛翔」に非ず。


敢えて、ピンぼけ。
by suw_wakai
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「あなた、女優になりなさい」

昨日、文壇バー「風花」から電話があった。
ママ@紀久子さんが仰るには、長年にわたり演劇や映画に携わっていた村井志摩子さん(70歳を超えても声が澄んでいて、お洒落で、格好いいおばさま)が私と話したいというから、とのこと。
電話を代わった志摩子さん、開口一番、「あなた、海女さんになりなさい」。
「あなたはね、海に潜って獲物を掴む海女さんのお芝居をするのよ。それも東北の、あなたのふるさとの言葉でやるの。いい?あなたは、せっかく海の中の世界を知っているのだから、それを陸の上で演じるのよ!」と仰るので、あれ?お芝居へのお誘いなのかな、と戸惑っていると、「あなた、女優になりなさい」と続く。
女優?私が?えぇっ?とますます戸惑い、訳が分からないまま、なぜか素直に「はい」と答えてしまう。
「あなたはね、周りに気ばっかり使っているから、そうやって疲れちゃうのよ!私は女優よ!って胸を張って生きるくらいじゃなきゃ!いい?女優になったつもりで小説を書くのよ!」
あ…。
そういうことか…。
この2、3年、小説を発表しないことで、いろいろな方から励ましを受けている。
例えば、業界新聞のA氏。
「若合さんさぁ、そろそろ、小説、書けよ。あなたが新人賞をとった時、あー、こんな凄い気違いが出て来てくれたんだー、
いい世の中になったもんだ、って安心したんだぜ。ちゃんと気違いに戻ってさ、とにかく、書けよな!」
それから、文芸誌ではないけれど、折りに触れて穏やかで優しい言葉を掛けてくれる某誌の編集者@K氏は、エログロだとか情痴だとか疾しさを含んだ言葉で括られてしまいがちな私の小説を「主人公の純粋さが切ない純愛小説」と紹介してくれて、私が神道を学んだことも民俗学に絡めて認識してくれたり、おまけに「若合さんは生粋の作家さんですから、そのうち作家モードに入りますよ。それまでお休みをとっていて下さい。」なんてメールをくれたり、電話でも胸の痼りがすぅーっと消えて行きそうな、やわらかで(しかも、声と語り口が好いので、つい、ほぁ〜んっとなってしまう。Kさんの夢を見たその日に電話があったので思い込みを激しくしてしまいそう。うわ、赤面;)慈しみを感じるような話をしてくれる。
こんなにも、みなさんに励まされているのに、どうして書かないか…。
いろいろ理由はあるけれど、それは結局、言い訳になってしまうからここには書かないけれど、でも、書きますよ、「来月末まで100枚!絶対だからね!」と強引に締切を設定して「今、書かなかったら、ほんと、まずい、ほんと、終わりだからね」と脅迫してくれる某社@N氏と約束しちゃったし…。
「あなた、女優になりなさい!」という志摩子さんの言葉は、古井由吉先生に「君は作家としてのポーズの取り方を最初に間違えたのかも知れないよ、もっと威張ってなきゃ。少なくとも君は箸にも棒にもかからない作家よりはましなほうなんだからね」と仰って戴いたのと繋がるような気がする。
さて、女優といっても、どんな個性の、どんな才能の、どんな人になればいいというのか。
作家なんて職業、ほんとうはよく分からない。
それにつけても、志摩子さん、格好いい。気魄に押されて泣きました、嬉しくて。
「いい?電話掛けて来るのよ」と電話番号を伝えられたけど、掛けられない…。よその人に甘えるのは、とても難しい…。
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by suw_wakai | 2005-12-28 23:54
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